・もっとホテルステイを楽しみたい方
・ホテルでのアップグレード交渉とかに悩んでる人
・ホテルでのリクエストの仕方がよくわからない人
・ホテルステイ歴7年以上
・購買/原価管理一筋13年、仕事で交渉しない日はない
交渉大好きな管理人がお送りします。
そもそもホテルで交渉ってするものなの?
この表題のようにお考えの人は、結構多いと思います。
この記事の前提を覆してしまって恐縮ですが、別に高級ホテルで交渉する必要性はないですよ。
どこのホテルグループでも上級会員になればレイトチェックアウトやルームアップグレードなどの特典は受けられます。
別に交渉しなくても、そういう特典を受けることはできます。
・・・最も、ケースによっては交渉しないとそういった特典がいくつか省かれることもありますし。
この会員特典の枠を超えて利益を得たい時は交渉することが必須です。
例えば、インターコンチネンタルアンバサダー会員は原則1ランクルームアップグレードです。
ですが、これを2ランクルームアップグレードにすること自体は、そんなに難しいことではないですよ。
もちろんこれは毎回できるわけではないし、何回かホテルに通ってないとまず成功しないですからね。
この場合は大抵、特に交渉することなく一言添えるだけで「あ、こちらのお部屋にいたしましょうか?」くらいの軽いノリで成功します。
何故なら、そこにはホテル側の思惑も絡むからです。
では、本編の前に基礎知識をおさらいしていきましょう。
そもそも、交渉とは何か
既に退職された私の上司(購買/原価管理を一筋半世紀)が、新人時代に口を酸っぱくしていっていたことです。
よく、「交渉してうまいことお得に・・・」とか「交渉して自分だけ利益を・・・」とか聞きますけど、交渉ってそういうものじゃないですからね。
交渉はあくまで、
「私はこれぐらい本気でこの部屋に泊まりたいんです!」
って感じの熱意と溢れんばかりの欲望を相手に伝えるためのツールです。
相手の立場や価値観を知り、規則とルールを把握し、自分の欲望を突き詰め取捨選択し、戦略を練り時を伺う。
こういう交渉は、準備9割:現場1割が理想ですね。
口先三寸で丸め込もうなんていうのは絶対ダメですよ。ホテルにおける交渉はビジネスの場ですから。
まあ、こういうことを言うと、「自分がお客様だからちゃうでしょ」と言う人が結構多いと思います。
と言うことで、次はそこです。お客様とは、
「お客様」と言う立場の話
しかし、先輩は言いました。王様の中には首をはねられた奴も大勢いると。
(三谷幸喜作 王様のレストランより)
王様のレストランは1995年に放送されたドラマです。子供の頃に姉と見てて、この上の言葉がすごく印象に残っていました。
この「お客様は王様です」はもともとアメリカで使われているフレーズで日本ではあまり馴染みがありません。
お客様でも法に縛られ、守らなければいけない・・・ってのが本来の意味だったかな? 少しうろ覚えです。
ですが、これは「お客様は神様です」よりもよほど説得力あると思いますよ。
あなたがいいお客様(王様)なら、スタッフさんは頑張っていい部屋をあてがってくれたり、要望を叶える努力をしてくれるでしょう。
でも、あなたが悪いお客様(王様)の場合、最悪は警察に逮捕される(首を切られる)こともあります。
今回の記事に当てはめると、悪いお客様は交渉・・・と言うか、無理なワガママを言ってスタッフさんを困らせる人です。
他の記事でも口を酸っぱくして言ってますが、「交渉して無理だったらすぐに退く」って言うのは一種のマナーです。
もちろん、退く時はなぜ無理だったかわかってることがベターですが、それは後で自力で考えるんですよ。
次は、おまけの内容ですが基礎的な交渉の考え方です。
おまけ・交渉する時の考え方
- 常に相手の立場に立って考えなさい。
- 難しい交渉の時こそ相手の利益を尊重しなさい。
そして、自分はそれ以上の利益を享受しなさい。 - 相手の聖域を決して侵すべからず。
- 「いける」と思ったら直感を信じて準備を全て捨てなさい。
失敗したらしっかり反省しなさい。
(冒険無き者に成功なし) - 情けは人の為ならず、巡り巡って己のために
私は社会人1年目でこれをメタクソに叩き込まれました。
私はこう言うのが普通と思ってたので、同期の友達と話した時に「お前の上司やべえ・・・」と言われてすごく驚いたことがあります。
正直、私は別に百戦錬磨では全くありませんよ。
でも、口コミを見たり聞いたりすると、普通の人よりかは結構得してるなと思うことが多いですね。
この項目に書いてあることは、本編でもいくつかは詳しく説明しますよ。
では、詳しい方法に移っていきましょう。
その1 聖域を侵すべからず
ホテルで交渉をするときに一番大事なことは何かと言うと、間違いなくこれです。
ここでいう「聖域」とは何かというと、
ですよ。
これに関しては、ぶっちゃけ「うっかり踏んでも、すぐに退けば大丈夫」です。
一番ダメなのは、聖域を侵したのにも関わらずゴネることですね。
管理人も普通に電話で探りながら話してるときに聖域を踏むことありますが、踏んだらすぐに話を変えますよ。
聖域を踏んだかどうかは、慣れて来ると勘でわかるので大丈夫です。
とはいえ、最初から勘でわかる人ばかりではないと思うので、簡単に聖域の調べ方を書いておきます。
- ホテル公式サイトを隅々まで読む
- ホテルグループの会員規則をしっかり読む
(アップグレード規則もあればそれも読む) - 他の人の口コミや実績をチェックする
以上1〜3が終わった後、初めて行動に移ります。
これって意外にできてる人が少ないです・・・「公式サイト読め」って思う質問、めちゃくちゃ多いそうですよ。ソースは某小田原勤めの友人。
後、例えばヒルトンゴールド会員なのに「スイートにアップグレードしたい!」ってワガママ言うのはもちろん論外です。
会員規約で、ゴールド会員はスイートへのアップグレード不可ですからね。
あとは、他の人の口コミのチェックですね。
例えば、インターコンチネンタル横浜pier8のコーナースイートは下からも上にもアップグレード不可能ですよ。
しっかり、スペシャリティスイート規約に該当していないにも関わらず、です。
でも、この情報はネットで調べると何人かのブログに書いてあります。
ここも聖域ですね。いわゆるホテルのローカルルールです。
実は、どこのホテルでもこう言うものがあります。
そして、これは宿泊者にとって良いものも悪いものもあるんです。
この線引きを見極めながら、相手の聖域を侵さないギリギリの所を攻めるのが交渉ですよ。
その2 要望は必ずメールでも伝えよう
これも、驚くほどやっている人が少ないですね。
新人時代に電話だけで交渉を済ませて蹴られたこともあります。部下が同じことをやった時は反省文を書かせました。
これって、交渉をする上でそれくらい大事なことですよ。
さて、ホテルステイ好きなあなたに聞きます。
アドレス帳に、幾つの予約係さんのアドレスが入っていますか?
私はいつものホテルはもちろん、行ったことのある高級ホテルのメアドは一通り入ってますよ。
使わないやつは変更になってて使えないこともありますけど。
「なんか前に聞いてた話と違う!」とか「思った通りの滞在できんかった」って言う人の中には、メールしとけば良いのに・・・って人結構います。
祖母の言葉で恐縮ですが、「人間の記憶」と「相手の仕事」だけは信用しちゃいけませんよ。
忘れられたり、勘違いされたりとかはよくある話です。
それに、何よりもメールは現地で大きな武器になることもあります。
例として、ホテルフロントのスタッフさんになったつもりで考えてください。
下のブロックを読んで、AさんとBさんのどちらの方が信憑性があると思いますか?
お客様はスイートへのアップグレード規定を満たしてます。
A「電話で予約の人が確かに言ってたんだよ・・・
なんで空いてないの?」
(´・ω・`)
B「メールと電話で予約係のHさんと話したんですけど・・・
こちら、その時のメールです。
ジュニアスイート空いてないの? 楽しみにしてたのに・・・」
(´・ω・`)
はい、Aさんは半信半疑ですけど、Bさんみたいな感じだったら冷や汗が止まらない人もいるのではないかと思います。
私は前に某ホテルで同じ状況でメールを見せた結果、マネージャーさんがでてきて頭下げられて最上級スイートに直行しました。(実話)
ここで大事なのは、フロントで話す前にメールを再チェックしてメール送信者の名前を覚えることですね。
「宿泊予約係さん」と「宿泊予約のHさん」では言葉の説得力が違います。
でもメールアドレスってどうやって調べればいいのさ?
こうお思いの方は、電話で聞いてみましょう。
もしくは、「返事は予約時に登録したメールアドレスにください」っていうと予約係さんからのメール来ますよ。
あと、この方法は前日予約とか直前の予約には不向きですよ。
近々の場合は変に電話するより、現地で一気に決めた方が勝率高いです。
その3 難しい交渉の時こそ相手の利益を尊重する
あなたが難しい要望を叶えたい時ほど、相手(ホテルスタッフさんやホテル自体)の利益は尊重するべきです。
私たちを泊めるのは、彼らからしたらビジネスであり、スタッフも法人格も「利益を生み出すために存在している」という前提があります。
例えば、私が以前ヒルトングループ の某ホテルでの交渉は以下の通りです。
部屋の種類:スイートルーム+普通の部屋
要望 :スイートルーム2泊
(アップグレード要件はOKだが、ポイントだとかなり難しい)
提案 :ターンダウン、清掃の不要
ランチ、ディナーのレストラン予約
レイトチェックアウト特典の破棄
チェックイン時間調整(18時)
これをわかりやすくいうと・・・
「難しいと思うけど、スイートルームで2泊したいな。
もししてくれたらターンダウンと清掃はいらないよ。
ランチとディナーもホテルで食べるよ。
レイトチェックアウト特典はいらないよ。
チェックイン時間は18時くらいまでなら遅くなってもいいよ」
ってことです。
オレンジ文字は、スタッフさんが調整しやすいようにこちらで出来る最大限の配慮と、部屋の移動がなくなるから清掃・ターンダウンの手間を削減。
いわゆる、スタッフさんが要望を叶えやすくなるよう土台を整える部分。
青文字は、こちらで出来る金銭的な面での利益の提供。
正直、これ以上切れるカードがなかったので無理だったら諦めるつもりでしたが・・・結果はなんとOKでした。
やはり、相手が十全に力を発揮できる環境を整えるのは大事です。
普段なら安いものしか食べない私たちもこの時ばかりは「少し高いコースにしてホテルに還元してやるぜ!」と良いものを食べました。
更に、たまたま翌日は空きができてチェックアウト16時まで延長していただき、まったり過ごせたのを覚えてます。
もしあなたがホテルの最上級会員とかなら、多分こういう技術がなくても良い思い出来ると思います。
これは、そういう武器を持たない人のための技術です。
お金がなければ、知恵以外に使える武器はありませんからね。
あと、この章の最後ですけど、「ダメだったらすっぱり諦めて従来の予定通りに泊まる」のが前提ですよ。
ダメと言われても「そこをなんとか!」とかそういう風にゴネても良いことありません。
逆に、本気度は伝わっているはずなので、当日に余裕ができたらあちらから提案があるかもしれませんね。
その4 たまには冒険してみる
これが一番している人が少ない・・・まあ、これって一歩間違えたら変な要求になるからみんな敬遠しちゃうんですよね。
相手の聖域を探るのも一種の冒険ですが、こちらはもっと踏み込みます。
具体的には、「規制・規則で明記されてないけど出来そうなこと」を探ります。
ここで重要なのは、「禁止されてない」ってことです。
例えば・・・
- 何回か泊まったホテルでもう1ランク上の部屋に泊まってみたいと言ってみる
- スペシャリティスイート規約に書いてあるけど、泊まれないか聞いてみる
- 朝食を昼食に振り替えできないか聞いてみる
- クラブラウンジ のご飯を部屋で食べれないか聞いてみる
(ドリンクは一人一杯で良いし、ルームサービスも頼む)
これは全部私が過去に聞いてみてできたことですね。
どこのホテルかは迷惑かかるかもなんで言いませんよ。
ここで重要なのは、先ほどの「その3 相手の利益を尊重する」を行なっていることが大前提という点です。
このくらいは別に会員ランクに関わらなくてもなんとかなるレベルですね。
具体的には、
- なんども泊まってる実績があるし、そのグレードの部屋を気に入ればその部屋をメインに泊まってくれるかも。売上が上がる!
- 普通に空いてれば泊まらせてあげるし、むしろそれで喜んでリピーターになってくれたらホテルの利益になるよね
- ※これはできるホテルとできないホテルが分かれるので除外。
ただし、こればかりは口コミと手探りで探すしかない。 - ドリンク一杯だけで良いなら安く済みそう。ルームサービスと一緒に持っていったり片せるなら楽だし、別に良いかな・・・
という思惑があるような気がしますので、それにうまい感じに乗って踊ります。
上を見ても分かる通り、1番目は1回コッキリのアップグレードですよ。気に入ったらお金払って泊まろうね、的な。初回割引??
冒険はダメだったらすぐ退くの精神で、深入りしすぎないのがコツです。
その5 目標、計画を立てる
手順的には一番最初ですが、一番重要なので最後にしました。
交渉するにあたり、目標(叶えたい要望)と計画(大まかな交渉の流れ)を一番最初に考えておきます。
こればかりは時間をかければ良いというものでもないです。どれだけ時間かけても、ダメなものはダメです。(実体験)
経験上、雑破な感じでいいと思いますよ。
規約:会員のアップグレード規定OK
時期:そこそこ混む。普通の土曜日
流れ:予約を早めに行う
電話で要望を伝える。誕生日と伝える
A:当日まで結果がわからない場合
→
B : その場で部屋を確定してもらえた場合
→
こんな感じで、何通りか起こりそうな出来事や結末を予測して行動案を立ててみるといいですよ。
私なら、Aはキャンセルしたくないから行ってみる、Bはせっかくいい部屋になるならルームサービスでお金を落とすとかですかね。
実は、ここが交渉ってここがメインパートなんですよね。
ちゃんと聖域を侵さず、相手の利益を考え、自分の要望を取捨選択してから目標と計画を立てて挑みます。
まあ、こればかりは経験を積むしかないです。
何度も失敗したり成功したりしても諦めずに続けていれば、線引きもコツもつかめてきますよ。
というわけで、以上ですね。
最後に
途中でも触れましたけど、これって別にブランドの最上級会員さんみたいに強い力があったり、お金持ちさんなら関係のない技術なんですよね。
私はヒルトンこそダイヤですけど、それ以外は普通にプラチナとかゴールドとか、会員権買ったりクレカを発行すれば取れる資格しかありません。
加えて、別にお金持ちってわけでないですし。
そういう人間が月1のホテル遊びの時に「どうしたらもっとお得に泊まれるんだろ?」と考え続けた結果の一つです。
もしあなたが次に滞在する時に使えそうなのがあったら、頭の片隅にとどめておいてくだされば幸いです。
では、別の記事でもお会いできたら嬉しいです。
最後に、このブログの他の交渉関係の記事はこちらです。
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